ある夏の夜の小さなロマンス
近所の小学校で開催された盆踊り大会に行ってきました。
しかも男性と二人きりで。
この男性、うちのお向かいに住んでる方で、以前から色々と親しくしておったのです。
盆踊りということで、私は浴衣。彼は作務衣。
数年ぶりの盆踊り大会。
響く太鼓の音とちょうちんが醸し出す陰影に、どことなく儚く、物悲しい感覚を覚えながらも祭りは終盤に近付き。
後数曲で最後といったところで、暑かったのか、彼が上着をさっと脱ぎました。
彼の腕に引っかかった上着をそっと受け取り、軽く折りたたんでから、彼の方をふと向くと。
急に真剣になる、彼の瞳。
そして、束の間の緊張の後、私の体にそっと回された彼の腕。
見詰め合う瞳と瞳。
どこか朧ろ気に響く太鼓の音。
しばらくそのままでいた後、ふいに彼が呟きました。
「お姉ちゃん、おしっこ」
…私が彼を抱えて、慌てて簡易トイレに走ったのは言うまでもありません。
まったく思わせぶりな仕草をするもんです。最近の三歳児は。
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